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金属材料の破壊原因調査事例のご紹介

 
 


1.はじめに

 機械や構造物の製作にあたっては、設計者は多くのデータや経験則に基づき設計を行ない商品化しますが、実用化後不幸にも損傷・破壊を受ける場合があります。実機が受ける諸条件はきわめて複雑であり、損傷を生じてからその破壊状況をみてはじめて気づく問題点もあります。(気づいていなかったからこそ設計に生かされず、破損したということですが。)
 弊社では、残された痕跡・状況からその破壊原因を調査・特定し、解析・究明に努めます。



2.破壊原因調査

部材の破損発生
部材の破損 発生



目視外観観察による1次判定
目視外観観察による1次判定


破壊原因調査

・破面外観観察
・走査型電子顕微鏡での観察
・破面近傍断面観察
調査
素材基礎特性調査

・破面近傍からの健全部採取
  化学成分
  組織観察
  断面硬さ計測  等

破壊原因の解明に基づく破壊の可能性の「検証」
検証




破壊原因から考えられる「技術的欠陥の特定と防止策の決定」


 目的や予算などに応じて試験項目を選択いたします。



<破壊形態の確認>

 破壊を生じた原因を調査するにおいてキーとなるところです。まず目視にて概要を確認後、拡大する機器(走査型電子顕微鏡、実体顕微鏡など)を用い詳細を検討・調査します。主たる破壊形態のポイントを以下の表に示します。


表1.破壊形態の特徴 代表例
破壊形態 特徴
1.疲労破壊  ×5000での観察
ストライエーション

金属材料の破壊に関し、大半を占めるといわれています。繰返し、微小な振動を生じることでき裂が形成します。
  • 実構造部材の破壊においては、ビーチマークと呼ぶ貝殻状の模様が現れたりします。
  • 塑性変形を伴わず、軸などに対し垂直に破面を形成します。

部材破壊においてもっとも多い破壊形態!
2.延性破壊  ×500での観察
ディンプル

過大な荷重が負荷されたことにより生じる破壊形態です。
  • 著しい塑性変形を生じるのが特徴です。
  • 破面は光沢がなく、またくびれなど変形が著しい様相を示します。
  • 衝突時に大きく変形を生じながら破断するなどした場合、顕著に観察されます。

3.脆性破壊  ×500での観察
リバーパターン

衝撃荷重が負荷された場合、一挙に高速に破壊します。
  • 荷重の絶対値が小さくとも、衝撃的な要因(高速衝突など)がある場合、このような破壊を生じる場合があります。
  • 疲労き裂進展後、耐え切れずに破断する場合の最終破断領域によく観察されます。
  • 低温環境下で衝撃荷重が負荷された場合、一挙に破壊した場合にも観察されます。

4.応力腐食割れ(ステンレス)
樹枝状分岐
SUS304割れ損傷部位断面観察例
全厚8oの部材断面

脆性破壊を生じないSUS304などのステンレスが脆く破断する、あるいは鋭角な割れき裂を生じるなどの現象を生じた場合、観察されます。
  • 破面観察より断面を採取しての観察で容易に判明します。
  • 使用環境を確認し、塩素など化学的要因の検討を行います。
→本破壊形態は破面観察よりむしろ断面観察のほうが明確に特定できます。




<素材の基礎特性調査>

 破壊形態の特定とともに、本当に図面どおりの材料であるのか確認するために破壊した部材の基礎的な特性を確認することを提案します。

表2.鋼材の基礎的な特性調査 項目と目的
試験項目 試験目的
1.化学成分分析 鋼材の規格確認のために、含有する化学成分分析を行うことを提案します。
2.組織観察 適切な調質がなされているか、ステンレス鋼の場合、固溶化熱処理がなされているのか確認することを目的とし、組織、特にミクロ組織の観察を行うことを提案します。
3.硬さ計測 適切な調質がなされているのか、規格に適した強度が確保されているのか確認することを目的として、硬さを計測することを提案します。





3.鋼構造物・機械部品の破損:溶接継手部の疲労破壊事例

 鋼材の破壊では溶接部分からの発生が最も多いと言えます。この溶接施工では、止端部形状の応力集中、熱影響部などの材質劣化あるいは残留応力等を生じやすく、破壊の原因・起点となってしまう場合が極めて多いのが現状です。疲労により破壊した部材の観察事例を以下に示します。

き裂進展状況の確認・マクロ観察 破面の拡大観察:疲労破壊の確認
溶接止端部の疲労 ストライエーション
写真1.弊社での加振試験による溶接構造部材の破損と走査型電子顕微鏡による破面観察例
(き裂進展状況の確認およびストライエーションの形成状況観察)





4.おわりに

 構造材の破損原因調査に関しては、まず目視での判断が最大のポイントになります。私たちの各種試験調査の際においても、目視で概要を把握し、説明のために各種データを採取していくという手法を取っています。
 高度な機器を使用し初めて気づく、あるいは想定していた破壊形態と異なる結果を確認したなどの例は少なく、受領時の目視判断が極めて大きな影響を及ぼします
 このような官能的な判断は経験が大きく物を言いますが、判断に際してはやはりポイントがあります。その一助としてこの資料を使っていただけたら幸いです。
 材料はうそをつきません。破壊は理由があってこそはじめて生じるものです。その原因を追究することが、本当に安全なよりよい製品を製作するアシストになると思います




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